NPO法人ふれあいまちむらおこし塾
 コラム
修学旅行の「民泊」人気上昇中 −
  1.沖縄県の修学旅行の実情
  2.修学旅行の背景
  3.全国的に広がりを見せる「民泊」人気 
  4.なぜ民泊
     修学旅行の「民泊」人気上昇中 −2
       1.民泊と民宿の区別が不明瞭
      
2.各県の民泊受入認可の主な条件
   
   3.受入に対する各県の制度の事例

     修学旅行の「民泊」人気上昇中 −3

       1.「薩摩半島自然学校」の現状
       2.民泊受入に当たって心配なこと
       3.目指すのは「第二の故郷」に
 
 1.沖縄県の修学旅行の実情
    

  「平成22年度沖縄修学旅行動向調査」
     
2011.6.22


 ※ 「沖縄修学旅行動向調査報告書<概要版>」

 調査の概要 <中学校・高等学校>
  調査期間:平成22年12月4日(土)〜平成23年1月14日(金)


 お問合せ

 財団法人沖縄観光コンベンションビューロー


                        沖縄新報 2012年7月12日 記事  
  ■
 沖縄修学旅行が過去最高 2686校、45万1550人
 

  県は13日、全国の修学旅行取扱旅行会社14社を対象に実施
 した2011年の沖縄修学旅行入り込み調査結果を発表した。

  学校数は前年比4・8%増の2686校、人数は3・0%増の
 45万1550人でいずれも過去最高となった。09年から2年
 連続で、校数、人数ともに増加を続けてきた。

  県は、昨年は東日本大震災などの影響で、東日本への修学旅行
 が沖縄に変更されるケースが増えたことで、校数、人数ともに増
 えたと分析した。

  一方、12年は東北復興や東京スカイツリーなど新たな観光施
 設の開業などもあり、減少に転じる見込みだ。

 都道府県別の入り込み状況をみると、  
 東京が237校、49,167人で最多。
 大阪が229校、44,932人だった。


沖縄県観光企画課統計
   年度  校数  前年比  人数  前年比
 全体     2011年  2,686  +4.8  451,550  +3.0
 2010年  2,476  +0.7  433,603  +5.2
 2009年  2,458  −1.4  412,182  −3.5
 2004年  2,228  +24.1  393,195  +17.0
2003年  1,795  -  335,859  -
 小学校 2011年 17 -15.0 1,077 -7.2
 中学校  900
 +8.4  106,697  +5.0
 高等学校  1,727  +3.6  341,831  +2.6
 
  ■ 09年の沖縄県内修学旅行3年連続の減  沖縄タイムス 2010.0715
   県観光商工部は14日、2009年の県内の修学旅行状況を発表した。
 
   学校数は前年比1.4%減の2458校、生徒数は3.5%減の412182
   人で、校数・生徒数ともに3年連続前年実績を下回った。

   県は「少子化によるマーケットの縮小や他地域との競合も考えられる」
  と分析している。

   生徒数でみると、学校別では中学校は前年比4.3%増だったが、小学
  校が前年比22.7%減、高校6.1%減、専門学校5.8%減、大学32.3%
  減だった。
  
  都道府県別では、東京が42,038人(215校)と最も多く、次いで大阪
  の40,681人(220校)だった。

  2010年の修学旅行の予約状況は2,476校(0.7%増)、433,603人
  (5.2%増)を見込んでいる。

  ※ 平成22年度 修学旅行統計概要 沖縄県観光企画課
   ,            ◇                    ◇

  沖縄本島本部港からフェリー30分の離島にもかかわらず、伊江島の
  伊江村約310軒で、年間約5万7千人もの能力を超えて修学旅行生
  を受け入れている、異常事態を招いている。
  (琉球日報ス2012年10月21日)

  南城市、09年度の民泊受入れ人数は6,184人(南条市HPより)。
  宮古島では22校 5,500人 延べ宿泊者数が7,000人を超えた。
   (宮古毎日新聞2010年2月10日)
  (参考:2012年度予測13,000人)。

  沖縄県の修学旅行は既存のホテルに宿泊、平和学習、レジャーのパタ
  ーンでの受入減少の状況をもっと掘り下げて見てみよう。

  伊江島、南条市、宮古島の民泊の合計人数は約75,000人。
  この他にも具体的な受入人数は把握できておりませんが、やんばる3村
  (国頭村、大宜味村、東村)、黒頭島、石垣島、伊是名島、読谷村などで
  民泊の受入をしています。

    沖縄県での修学旅行入込数の減少を食い止めているのが、既存 の
  観光 型でのホテル宿泊から農林漁業体験をしながら民泊です。

  民泊人気をとらえ、新たな活性化事業として取り組んだ地区の努力の
  結果が大きく反映されてきているのは明らかです。

  2.修学旅行の背景

    修学旅行の主流は京都・奈良の寺社仏閣巡りから、時代の流れと
    共に広島・長崎の平和学習へ、一時はスキー体験へと変遷し、19
    91年東京で公立高 校の修学旅行の飛行機利用が解禁となり、続
    いて1996年に大阪で解禁と なり、南国の海へのあこがれ、海洋レ
    ジャー体験、ひめゆりの塔などの戦史探訪の平和学習などのアイ
    テムが加わり、沖縄への人気が一気に高まりました。

    1996年に902校166,620人が 2008年2,517校、430,291人、

    推定で関東地区、関西地区の公立高校の約25%〜30%が沖縄を
    希望しているという人気が突出しているディストネーションになってい
    ます。

       しかしながら、沖縄の修学旅行には翳りが見え始めました。
 
      沖縄県観光商工部はその原因として
         (1) 各自治体で修学旅行費の引き下げ改定、
         (2) 原油高で航空運賃の上昇、
         (3) 競合地の増加、
         (4) 少子化による生徒数の減少     等々と述べています。
 
     一方、実情は生徒の人気にあやかり現地のホテル料金、体験料金
    の高値安定、航空運賃と共に旅費限度額が不足し、本来主流となっ
    ている3泊4日の日程を生徒が沖縄を望む声に押され、無理して2
    泊でも沖縄で実施したいという学校が出ています。

    また、2年前から実施が決定しているにもかかわらず、沖縄を希望
    する学校が多い中で、修学旅行の時期が5月、6月、10月、11月
    に集中、飛行機の機材が小型化などの要因も加わり、予約が間際
    まで決まらないという状況が繰り返され、イラだちと不満を感じている
    先生が少なくありません。

     更なる裏事情として、各旅行会社間の競合により利益が少なく、メ
    リットが低くなっており、目的地を他地区へ誘導する、脱沖縄の動き
    が見受けられるようになっています。


◎ 平成21年度近畿地区公立中学校 修学旅行実施状況報告書より

関西圏から沖縄県への修学旅行費用

    ※実施時期、宿泊施設、食事内容、体験内容等で異なります。
最高額140,220円 最低額 55,143円) 

沖縄県への旅行費用 関西圏平均額  (単位:円)

費用明細

金額

全体割合

交通費         

38,068

59.1%

宿泊代     

16,243

25.2%

食事代      

,834

.8%

体験学習・入場料

,884

.6%

その他          

,788

.9%

旅行費用合計 

64,383

100.0%

 
      参考: 公立高校の旅費限度額例 
           東京都 76,000円、

           埼玉県 81,000円

  3.全国的に広がりを見せる「民泊」人気 

    埼玉県では修学旅行のスローガンとして「埼玉の子ども70万人体
   験活動」を掲げており、まさに、学校の意向と合致した内容が、自然
   に溶け込み、様々な農林漁業の実体を学び、体験を通じて地元の方
   々とふれあい、ありのままの自然と食の安全の大切さ、歴史、文化を
   実感するとともに人の優しさ・温もりに触れ、一生の思い出として心に
   残せるのが民泊です。

    いまだに民泊に対しては、実施を躊躇している学校では、
 
    (1) 受入先が分散してしまい生徒の管理が難しい、
    (2) 受入家庭のレベルが均一化していない、
    (3) 新たな試みでの事故発生への恐れがある
   
    等の不安感から、プレゼンの対象にすることすらも拒否する学校も
   多々あります。

  4.なぜ民泊   

   全国各地では景気の低迷、団体客激減、ETCの割引により1日の日
   帰りでの行動範囲が広がり、日帰り客数の増加に反比例して、年々
   宿泊旅行客の減少傾向が続き、宿泊客誘致に頭を痛めています。

    その流れの中、約2年前から予約があり、予約人数の減員も少なく、
   単価も一般格安旅行客よりも比較的に高く、しかも大人数。

   こんな好条件の客層は他には見あたりません。

   そして、全国の市町村では、活性化のための起死回生の特効薬として、
   受入に際して先行投資はほとんどかからない、その地ならではのあり
   のままの姿で受入ができる民泊に活路を見いだそうと力を注ぎ始めて
   います。

    旅館業法の簡易宿業として食品衛生法、消防法、浄化槽法など法
   的な基準を満たして、認可を取得しているのが民宿、ペンションなど
   です。
 
   しかしながら、学校が求めているのは、設備が悪く、安い食材、ふれ
   あいの機会もほとんどない、サービスとは言い難い接客、また受入
   のレベルにそぐわない割高な料金の民宿ではありません。 

    体験なども一束一からげ、観光施設さながらベルトコンベアーに乗
   せ、予定に組まれているから仕方なく「体験させてやる」という営業感
   覚だけで受入をしている受入施設や地区が多々見受けられます。

    まさに、学校・生徒が求めているものは、農林漁家に身を寄せ、そ
   の地ならではの自然、食事などと共に家族の一員として、各受入家
   庭の家業の手伝い、体験を通じて温かく接してくれる家族の方々と
   ふれあい、絆を深めることです。